学校見学会の日に吹部が演奏会をすると聞いて、秋人と一緒に体育館の隅にいた。

「そろそろ告白すれば？」

この頃やたらと秋人は俺に告白させたがっていた。

「そのうちな。」

球技大会の日から1カ月近く経っていたけど、由依との距離は少しも縮まっていなかった。


「なぁ、花崎って男嫌いだと思うか？」

なんとなく抱いていた疑問。

「どうだろうな。」

由依は女の子としか話さない。

男と話す時は、先生が呼び出してただの授業の発表班の打ち合わせだの、事務的な用事ばかりに見えた。


「話しかけられないから話さない、とかじゃないか？」

秋人の言葉に、なんとなく納得した。

もともと受け身な性格で、自分からいろんな人に話しかけに行くタイプには見えなかった。


それならば、俺からもっと話しかけるきっかけを作らなければいけないと思った。