由依はいつも江沢と一緒に部活に行っている。

だけどその週は江沢は掃除当番で、HR後に由依に声をかけることが出来た。

「花崎、ちょっと良いか?」

俺の呼びかけに振り向いた由依はとても驚いた顔した。

俺が由依に話しかけることなんて、あまりなかったからだ。

由依は目を丸くさせたまま俺を見て、一度深く頷いた。

由依の目を見るだけで、俺は心拍数が上がる気がする。


人気の少ない場所を通って、中庭に出た。

由依はまだ不思議そうな顔をしていた。

「花崎、俺と付き合ってくれないか?」

単刀直入に言った。

「…え?」

由依は目を丸くして、俺の言葉が理解できないとでも言うように首を傾けた。

その反応に俺はもどかしさを感じた。


「俺、花崎のこと好きなんだ。」

由依の仕草や表情に心奪われて、もっといろんな由依を見たいと思ってしまう。