俺は、思わず最低な嘘をついてしまった。

「…もう好きじゃないから」

佐藤は、

『え?』

と驚いた。

でも、それ以上に驚いていたのは自分だった。

なのに口から嘘ばっかりが出てくる。

「結衣のこと、もう吹っ切れたから…。…何か、諦めついたから…」

嘘つくなよ。

さっきだって結衣と佐藤を重ねてたじゃないか。

まだ唇には結衣とのキスの感覚が残ってるんだぞ…?

その瞬間、体を急に押された。

いつの間にか俺と佐藤の体は離れていた。

驚いて佐藤を見ると眉間に皺を寄せて俺を睨んでいた。

だけど、その顔には何処か悲しみも見られた気がした。