俺は静かに体を起こした。

陸に殴られた頬に熱が集まりジンジンと痛む。

俺を殴る拳は力強く、


陸が結衣を思う気持ちが直に伝わった。




「…何でっ、何でこんなことすんだよっ」

陸から吐かれた言葉。

それは小さく囁く感じだったけど怒りと悲しみが伝わった。



「結衣が、好きだからだよ…」

言った。

言ってしまった。

本当の気持ち。

押さえられない思い。


言った後に後悔が募る。

もう、戻れない。


「…何だよ、それっ」

陸の切なく悲しい声が教室に響く。


俺は、陸と結衣の顔を見ずに教室から飛び出した。