最低だ。

何もかも。

嫌になる。

結衣の声も。

あの二人が一緒に居るのも。

陸の言葉も。

何より、

俺が…………。



ギシッ

と不安な音をたてるブランコに腰を下ろした。

何だか、外の風を浴びていたい

そんな感じだったから。


『ニャー』

と猫の声をする方向を見ると小さい捨て猫が潤むような目で俺を見ていた。

何だか、俺の本当の姿を写してるような猫を見て切なく思った。

「捨てられたのか…?」

そう言い小さい子猫を片手で抱き抱えた。

『ニャー』

まるで俺の言葉に反応したかのように猫は鳴いた。


−自分の気持ち伝えなかったら後悔する−

何故か陸の言葉が俺の頭を過った。

ズキッ、とまた胸が傷む。

痛さに顔を歪めれば猫は俺の顔をペロッ舐めた。

俺は、そんな猫を両手一杯抱き締めて呟いた。

「…結衣、好きだ」

その言葉は猫以外に聞こえることは無く、空に消えた。