手を伸ばしても、どんなに手を伸ばしても届かない。

どんなに歩いても、どんなに歩いても縮まらない距離。

お願い、行かないで…。

一筋の光に手を伸ばした。

その続きは、もう分からない。



目を覚ますと見慣れない無限に広がる白い景色。

あの夢の続きか?
そう思い寝そべっていた体を起こすと現実であることが分かる。

夢だったら可笑しいくらいにリアルな病室。
そして、まだ頭が痛むことに現実と感じた。



「痛ぇーっ」
と驚くほどに寝心地の良いベットに再び横たわった。

頭に締め付けられる感覚がし手を当てると包帯が巻かれていることに気づいた。

多分、倒れた時に頭を打ったのだろう。



痛む頭を何とかしようと手で擦って居るとドアが静かに開いた。

そこには花の入った花瓶を持つ結衣と何かを手に持っている陸。