「……え?」




一瞬の間が開いて、あたしは瞬の顔を見上げた。
そんなあたしを見て、瞬はもう一度口を開いた。




「なあ…葉月、ちゃんと聞いてる?」


「えっ!?……あ、うん…」


「え、マジでいいの?」




……あれ?
あたし今、『うん』って言った?


顔を上げた瞬間、唇に柔らかいものが触れた。

目の前にある、瞬の顔。



瞬、今…何したの?
そしてすぐにはっとして、あたしの顔は真っ赤になった。




「…これからよろしく、葉月」


「……う、うん…」




ニコリと笑い、瞬はもう一度あたしの手を握り直した。
そのまま何を話すこともなく、黙ったまま家まで帰った。


瞬と二人きりなんて、今まで数えきれない程あって。
本当は誰よりも慣れてるはずなのに…

今まで生きてきた中で、一番ドキドキした瞬間だった。