君は微かに左手を挙げて、薬指に填められた結婚指輪を嬉しそうに見つめてからこう言った。 「ありがとう、あなた」 「……バカ野郎」 まるで最後のように、 彼女はそう言うから。 妙に遠く感じたせいか、 俺が目頭を抑えるはめになった。