麻衣の手にはココアがふたつ。 珍しくニッコリ笑った麻衣は、その一つを私の頬に軽く当ててきた。 「っ!?」 冷たっ!! な、なに…っ 「ほれ、あげる」 「……」 え? 麻衣は、頬から離したココアを グイッと私の目の前に出す。 「良いの…?」 「そんな顔一日中されてたら、こっちだっていい迷惑」 麻衣なりに、元気づけてくれたみたい。 「あ、ありがとっ」 素直に嬉しくなって、 笑顔で麻衣の手からココアを受け取った。