「…なにしてるの」 あの時とは違う声の智隼ちゃん。 こんなにも、人間って声が変わるんだって驚いた。 「保健室に、なにか用?」 「別に…」 智隼ちゃんにも涙は見られたくなくて、私は涙を汗を拭くように、体操服の肩で拭った。 「智隼ちゃんこそ、保健室に何の用?」 聞きたくないようで、聞いてしまった。 「いっちゃんの看病。いっちゃんの恋人だから」 ――え?