「カッコつけたかったんだ」 俺は腕で目を隠したまま 呟くようにそう言った。 「カッコつけるって……」 「走れると思ったんだよ」 走れると思った。 いい所を見せてやろうと。 だって俺は夢を取り戻すために、戻って来たんだ。 ここに。この学校に。 だから――… 「心配させないでよ」 消えてしまいそうな、か細い声。 俺は自然と夢を見ていた。 少し見つめ合った状態。 やっぱり… 俺なんかの為に保健室に来てくれたんだ? 心配… してくれてるんだ…? その時、夢の手が俺の――…