「ほら、唯子。行くよ」

「はーい」

「じゃあ新里君、応援してるからね」

「頑張ってくださいー」

「うん、ありがとっ。横山さんもありがとうございます」


私と唯子は、もうすぐ始まる試合のため、

離れた石のベンチが置いてある場所へと向かう。


それにしても、

サッカー場、久しぶりだなぁ。



中学の頃は―――……






「ん?」

「……どうしたの?唯子」


突然、足を止めて、少し前にある石のベンチをジッと見つめる唯子。


どうしたんだろう?



不思議に思って、私も唯子の見ているであろう、ベンチを見てみると、



同じ応援に来た人なのか、帽子を被って座ってる人がいた。


「唯子、知り合い?」


すぐにその人から目をそらして、唯子を見てみると、明らかに顔が強張っていた。


そして、唯子はとんでもない一言を私に告げる。





「知り合いっていうか、あれ――…」