『おばちゃん!メーローンパンー!!』


なぜかその声と言葉が


スッと私の耳の中へ入ってきた。


低くて、だけど透き通ってる独特な


男の声。


思わず、声のした方へ目を向けていた。


「あ、ごめんね!聞こえなかったわ!メロンパンで良いかい?」

「うん!メロンパン一個ね」

「はいよー。125円ねー」



まるで世界中の音が無になったかのように


その会話だけが耳に入ってきた。


隣で麻衣が私を呼んでいろうが、聞こえない。


ただ


その少年を見て


疑問と怒りと悲しみと驚きが


一気に私を襲った。