ズルッ‥


奴があたしの体内から腕を引き抜いた。
腹部に空いた穴から、ゴポゴポと血が流れ出ている。

あたしはその場に膝を付き、倒れ込んだ。

あたしの視界に入ったのは、悪魔のような残酷な瞳と笑み。



「天野瑠子。
何の役にも立たなかったな。

悠黎や安宮知香に伝えておいてやるよ。
『天野瑠子は護衛も出来ねぇ役立たずでした』ってな」



真っ黒な黒衣を翻し、黒い翼を広げた。
‥視界が‥霞む。



「天野瑠子。
世界に果てはあるんだ」



──────プツン。

あたしの意識はそこまでだった。