視界から悠黎が消えた。
俺は辺りを見回すと、後ろに悠黎が険しそうな顔をして立ち止まっていた。



「んだよ、素っ頓狂な顔しやがって」


「何処って‥‥
お前の家に決まっているだろう」



悠黎の発言から三秒。
発した言葉は‥‥



「は?」



しかなかった。



「流石に女性の家に押しかける訳にはいかんだろう。

だから、安宮知香の家から近いお前の家にしばらく泊まる」


「‥‥拒否権は」


「ない」



スタスタと俺の家の帰路を先に辿る悠黎に、俺は着いていくしかなかった。