「い、いらねぇよ‥っ! お前からの食い物なんて‥‥」 阿久摩くんは一瞬だけ曇った顔を見せたが、すぐにいつも通りの表情に戻った。 「おいおい、人種差別か?」 「‥‥‥‥‥っ」 「ま、良いけどよ」 阿久摩くんは、持っていた包み紙からチョコを取り出し、自分の口の中へと消し去った。 「じゃあな、雪梛、安宮知香。 夜道には気をつけろよ」 そう言い残し、阿久摩くんは教室から立ち去った。 ‥‥フルネームとは何と気に食わない。