髪を一つに束ねた、白い羽織りを纏っている綺麗な顔立ちの青年が、月を背中に背負っている。



「あの‥」



近付こうとしたら、ふわりと体が宙に浮いた。

私の‥だ。


落ちると思った時にはもう遅かった。


私は、その青年に手を伸ばして助けを求める事しか出来なかった。



「恐れるな」



聡明な声が鼓膜を揺らす。
次に彼を見た時は‥


真っ白で大きな翼が生えていた。