確実に歩み寄ってきているのに、自分の心臓の音しか聞こえない‥ それに私は恐怖を覚えた。 「くくっ、その恐怖に怯えた顔、そそられるなぁ‥」 「な、何なの‥アンタ‥」 近くまで来た阿久摩くんに、私は逃げるように壁に背中を預けた。 「俺? 俺は、魔界からやってきた悪魔。 お前の〝第三の眼〟を貰いに来た」 「悪魔‥?」 思考回路が回らない。 私の全身全霊の力で頭をフル回転させても、何の事だか分からない。