「やばいやばい!入学式早々遅刻してしまう!」
あたしははねた髪を手で押さえながら慌てて玄関を出た。
今日は高校の入学式。
中学は女子校だったから、共学はなんだか新鮮。
彼氏できるかなー。
…ムリか。あはは。
そんなことを考えていると後ろから聞き慣れた声がした。
「らい!おはよ。」
「あ、紗枝。おはよー。」
この子は都倉 紗枝(トクラ サエ)。中学からの親友。
ショートカットで一言で言えばクールビューティかな?
「今日から高校生だね。」
「だね。共学だからなんか新鮮だな。」
「らいは絶対モテるね。」
「いやいや、そんな訳な…」
ドンッ!!!
紗枝と話していたら、誰かがぶつかってきた。
「いったぁ〜…」
「うおっ、ゴメン!大丈夫?」
見上げてみるとそこにはすごくカッコイイ人がいた。
サラサラの黒髪。
整った目鼻立ち。
心配そうにあたしを見つめる少し切れ長な目。
制服を見ると、あたしと同じ高校らしい。
「らい!大丈夫!?」
あたしは紗枝の声で我に返り、慌てて立った。
「す、すいません。あなたの方こそ大丈夫でしたか?」
「俺は全然大丈夫だよ。マジでごめんな。じゃ!」
そう言うとそのイケメンは去って行った。
これがあたし達の出会いだった。
