神様は見ている




いや…


マリアはすぐにこっちを見て



「ばかっお前声を出すな!」


鬼の形相でこちらを睨む





――――そして今にいたる――――


俺は教会に置いてある椅子に座り、マリアは壁にもたれる


「お前何やってたんだよ」


マリアはさらに俺のほうに睨みをきかせ
ため息をついた


「考えれば分かるだろう。ここの教会をなんとか残す為には金が必要、だから神様のふりをして金を集めようという魂胆だ。あと少しでうまくいきそうだったのに、お前が邪魔なんかするから…」




マリアは語尾を小さく弱めて悲しそうに天井を仰ぎ見た


かなり古びた天井には穴が開いてる所などもあり、そこから太陽の光が溢れている以外はこの教会には光はほとんどない状況だった




「だからって、シスターのお前が、そんな神様を冒涜するような事していいのか?」


呆れ顔で言う俺に悲しそうな目をむけ
鼻で笑い、教会にかざられている大きな十字架を見つめた


「神様なんて居ない、だけど信じる者は救われる。わたしはわたしを信じる
だからわたしが神様だ。」



「はぁ?」



マリアに背をむけて歩き出そうとすると



教会の重い扉が開いた



「ギィィィィ」と不気味な音をたてながら