怒られると思って、覚悟してた でも、こんなの覚悟してなかった あんなにキスが熱いものだと、思ってなかった…… ……でも、許せない。 「……ない」 「は?」 私は俯くと、ぽそりと呟いた。 聞き返す賢也さんに、今度はハッキリと、言う。 「こんなの、キスじゃない。 恋愛感情のないキスなんて、犬に噛まれたのより価値が無いわ」 「……っ!!」 頭上から、息を呑む音が聞こえた でも、そんなの気遣かってやるもんですか。