「そういえば」

扉の方を向き、俺に背を向けたままゆきなは問いかけた。


「私、恋愛感情のないキス嫌いって言ったけど。

賢也は、ホントに私のことが好きなわけ?」


一瞬、面食らう。

そんな質問をされると思わなかったから。

でも…………

「嫌いな奴にキスしたくなるような奴じゃねぇよ、俺」


これだけは、本当だ。