……そういえば。

「那津も凜さんも皆も、私が婚約したって聞いて喜んでたけど…」


妬みは、なかったのかな?

賢也は、仮にも高校の『王子』とまで言われる人。

ルックスもいいし、使用人に対する礼儀もいい。

メイドと主人の婚約――このことを知ってメイドになった人とか、いてもおかしくないよね。

しかも、相手はどこにでもいそうな平凡な女だし。

でも―――那津や他のメイドさん達はみんな祝福してた。

あの表情……嘘だとは思えないし、思いたくないけど。

私に対して妬んで、睨みつけてくる人がいたっておかしくないはず……だよ。

なんでみんな、あんなに嬉しそうだったんだろ―――……


とそこまで考えて、私はハッと思い出した。