私がそう聞くと、賢也さんは目を丸くした。

「は?……お前、知らないの?」

「………なにを」

「鎌田家は代々、使用人と結婚するんだけど」

「………はぁあああ?」


初耳。そんなの知らない。

ってか……興味無かったから全く気にしていなかったんだ。


「お前さ、メイド長から呼び出し聞いたはずだよな」

「え?……う、うん」

「主人である雇用主がメイド長を通して一人のメイドを呼び出すのは、婚約直前の合図だぞ」

「…………ぇ」