「あれ?塚原くん教科書忘れたの?」
と、突然片吹さんが声を挟んできた。
片吹さんの視線は俺のノートしか置かれていない机にあった。
「え、…あ、うん」
なんか、そこ抜けたような声を出す俺。
「もうすぐ順番回ってくるでしょ?よかったら、あたしの貸すよ?」
「えっ!?」
俺はびっくりしすぎて、思わず大きな声を出してしまいそうになった。
慌てて、口を手でおさえる。
俺が言いたかった事を、さらりと先に言われた。
とりあえず落ちつこう
吸って
吐いて…。
よし、落ちついた。
「いいの?」
俺は小声で聞き返した。



