それでも朝はやって来る

「僕ね。悠里様にお側に置いていただく前はエスコートクラブっていうのにいたんですよ」


え…

ええええ…


エスコートグラブっ!?



驚愕の事実に何も言葉を返すことができなくて朝子は、少しでも落ち着こうと手に持っていたホットミルクを一口飲み込んだ。

喉を通過する温かいミルクが真楯の話が現実だと思い知らせた。


「学校のみんなには内緒にしていただけるとありがたいですが…、朝子様と同じで借金を返さなければならなくて、そんな仕事をさせていただいてたんです」


自嘲気味に鼻で笑った。


「だから、先程の質問はイエス…かな」

「ごめ…なさぃ…」


淡々と話してはいたが、きっと話したくなかったかもしれなかった。



「あ…あたしは多分無理です」



好きじゃない人と、キスなんてきっとできない。

少なからず好意は持っているはず…

なんとも思ってない人とあんなキスできるはずがない。



無理と言って、真っ直ぐと自分を見つめる朝子の視線に少し困ったように真楯は眉を寄せた。


「うーん、それでは朝子様は僕のことを好きなのですか?」

「えっ!?」

「図書館で僕たち…」

「あわわわ…!」


真楯の唇を慌てて塞ごうと立ち上がった。


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