それでも朝はやって来る

「きききき汚いですよぉ!!」


舐めていた指先をつかんで、下ろさせた。


「残念。とっても甘いのに…」


顔から火が出そうなくらい真っ赤になった朝子を見ながら、真楯はにこりと笑った。


「からかわないでください!」


朝子は、桃色の唇を尖らせた。


「男のヒトって…」


噛んで少し血が滲んだままの唇に手を当てながら、少し遠慮がちに朝子は聞いた。


「まま…真楯先生も…、好きでもない人と、その……キキキ…キスって、できますか?」


あまりに恥ずかしかったのか、途中から真楯に聞こえないような小さな声になってしまっていた。


「う~ん、難しい質問ですね…」


眉間に皺をよせながら少し考える格好をし始めた。


「イエスかノーで答えなければならないなら、返事はイエス…かな」


真楯先生なら、絶対ノーと言うだろうと思っていた朝子は驚いた。


「教師としては少し不謹慎な答えになってしまうかな?」


少し困ったように、眉毛を下げながら笑った。



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