それでも朝はやって来る

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「あれー、おっかしいな朝子どこ行ったんだろ」

カナは朝子を探していた。

しかも、棗と一緒に…だ。



「……クソッ」



カナが何度も呼ぶので、悠里は朝子を攻めるのをやめざるを得なかった。

まるで朝子たちが、体育倉庫にいると言わんばかりに、ぐるぐると辺りを回っているのだ。


「カナちゃん、体育倉庫にいるんじゃないかな?」


声の主は、棗だった。


「んー、かもね」


体育倉庫の前で二人は話していた。




朝子の上から冷たい目をして、悠里は言った。


「あんな顔して、俺を煽るな。場所がどこだろうと、次は止められる自信がないぞ」


首もとに顔を埋めると、悠里は朝子に紅い徴をつけた。


「……イッ…」


消えかかっていたから…

先日つけた跡の上に、前よりもキツく紅い刻印を残した。

まるで朝子は自分のものだと知らしめるように…


悠里の重みがフッと朝子の上から消えた。

こちらを見ないまま、頭だけを動かして先に出ろと朝子を促した。




体育倉庫の扉はなかなか重くすぐには開けられなかった。

どうやら棗君が錆び付いたドアを開けてくれるようだ。


「カナ~、ゴメンゴメン」


なるべく平静を装って、外へ出た