ポツポツと雨が降り始めた。

櫂を見上げる朝子の頬を濡らしていく。


「ほら、濡れるぞ」


校舎へ入ろうと促されたが、朝子は首を横に降って断った。


「予鈴な……」

「わかってる。先行って」


予鈴がなり始めると、登校していた生徒達が小走りに校門をくぐり始めた。


これでよかったんだ。


あの二人の事に、櫂兄を巻き込まない方がいいんだ。

あの恐ろしい力で何をされるかわからないし。



でも、ホントは怖い…

やっと見方になってくれる人が現れたと思ったのに…

結局はまた一人なんだ。


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