それでも朝はやって来る

「……さい…」


リモコンは朝子の手の中にあった。
それごと悠里の手が包んでいた。

悠里が真上から朝子を真っ直ぐな瞳で見下ろしていた。



「おまえ…、彼氏いるのか?」

「…えっ…!?」



「もうやったのかって聞いてんだよ!」


なっ…




ドカドカと足音がしたかと思ったら、朝子の上に馬乗りになっていた悠里が中に浮いた。

ソファの横に倒れこんだ。


「櫂兄ちゃん!」


櫂がさっと朝子を背中の後ろに隠した。


「お前、屋上にいたやつだろ。朝子んちまで来てなにやってんだよ!」


キッと悠里を睨み付ける。


「朝子を苛めるやつは俺が許さないからな!」


そうだった。櫂兄はいつもこうやってあたしを守ってくれた。



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