それでも朝はやって来る

どのくらい時間がたっただろう。
櫂は泣き止むまで、ずっと背中をさすっててくれた。


これじゃ小学校の頃と何も変わらないじゃん…

あたしだって、もう高校生なんだし…


「もう大丈夫か?」


心配そうに櫂が朝子を覗きこむ。


「朝子…なんか困ったことがあったら、すぐに俺に相談しろよ」


咄嗟に声が出なくて、頷くしかできなかった。


「三年になって生徒会長とかやるようになって、なかなかお前についててやることができなくて、悪かったな」


優しく髪を撫でてくれた。


「…さっきの男に…脅されてるのか?」


遠慮がちに聞いてきた。


「…っ!?」


見られてた!!
あわあわと慌てる様子をみた櫂がため息をついた。


「…会長の仕事も一段落着いたから、今日はじっくり話を聞いてやる!久々ににーちゃんと水入らずだぞ。

俺…そうだな…朝子の手作りハンバーグ食べたいなぁ」


はははと爽やかに言いはなった。


「ダメダメダメーッ!!」


そそそそ…そんな急に言われても…
真楯先生もあいつもいるから無理だよ。


「櫂兄!!急には無理だよ!!」

「ん?なんでだ?用事でもあるのか?」


前だったら二つ返事でOKだったけど、今回ばかりは無理だ。


「へへ…部屋汚いし…えっと、後…」


ガシッと櫂のフレザーの腕のところを掴んだ。


「後々…今日はカナが遊びに来るから、また今度にしよ!ね!」


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