それでも朝はやって来る

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屋上に悠里を呼びたした。

監視は真楯だけで充分だし、逃げる場所もないから逃げるつもりは全くないと告げるためだ。



「何なんだよ。こんなとこ呼び出して」


面倒臭そうに頭を掻きながら、悠里は後ろに着いてきた。


「あたし、別に逃げたりしないから…

ちゃんとあなたの呪いが解けるまで、その……キ…スもするから」


最後が恥ずかしくて、ゴニョゴニョ小さい声になってしまった。


「別に監視しようなんて思ってねーよ。呪いを解くヒントがこの学校にあるみたいで、潜入させてもらったまでさ」


一歩近づかれて、本能的に後退りした。

ガシャンと手すりに背中がぶつかる。
もう、後がない。


「それに学校にいた方が、お前の体液を好きなときに貰えるからな」


朝子の体を挟んで、悠里の両手が手すりを掴む。

下を向いてると、悠里の鼻が自分の鼻にあたった。


距離近すぎ!!
マジ、顔あげれないんですけど!!


「こっち向けよ、朝子」


名前を呼ばれて、ピクンと体が反応した。昨日と同じ、悠里が朝子を名前で呼ぶ時はスイッチが入った時だ。


「気持ちよくしてやるよ」


この時、一部始終を向かいの校舎から眺めてる人がいるなんて、気づく余裕すらなかった。



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