それでも朝はやって来る

保健室にたどり着くと、ドアノブに外出中の札がかけてあった。


「なんだ、先生いねぇのか。ま、消毒液ぐらい勝手に借りようぜ」


悠里はびっこひく朝子をずっと支えながら、保健室に連れてきてくれた。

慣れた手つきで、消毒液とガーゼとピンセットを戸棚から持ってきて、向かいの先生が座る椅子に座った。
砂まみれの膝を丁寧に拭き取っていく。


「悪りぃ…ちょっとスカートいいか?」


悠里は遠慮がちにスカートを少しあげた。
膝を拭きやすいように、少し立てられた。



やばっ…なんか恥ずかしいな…



顔、きっと真っ赤だ…



そんな朝子に気づかないのか、今度は頬の汚れをガーゼで丁寧に綺麗にしてくれている。


「おい、ちょっとこっち向けよ。ちゃんと拭けねーじゃんか…」


悠里と視線が交差する。
恥ずかしくて湯気が出そうだ。


「あ…ありがと。も、大丈夫だから…」


手当てしてくれていた手を払いのけてしまった。


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