それでも朝はやって来る

ヘリコプターの音で、会場のざわめきがかき消される。



「あの子が、

ーーーーーーーーーー朝子だ!」



金髪に指示されると、一人は悠里を肩に担ぎ上げ、もう一人は朝子を捕まえようと近寄ってきた。


割れたガラスの破片がジャリジャリと音を立てて、彼が近づく度に割れる。



朝子を庇う真楯に黒い男の鉄拳が襲い掛かる。

自分の拳を相手に封じられ、また真楯も相手の拳を受けて、二人で睨み合った。



両者一歩も引かない。



隙がないから、互いに次の一手がでないのだ。


「仕方ない。時間だから、もう行くよ」


溜め息をついて、金髪が人差し指を手前に曲げて、真楯を攻撃していた彼に引くように促す。

ヘリコプターの照明に目がくらみ、思わず朝子は目を閉じる。


「朝子さん、こいつの命が惜しければ明日の正午、緑ヶ丘公園まで来て。君と彼と交換だよ」


ぐったりした悠里の首を持ち上げて、朝子に語りかけた。


「必ず、一人で来てね♪」


ニコニコ笑いながら、朝子に話しかける。

朝子は、彼が怖かった。

顔は笑っているが、彼からは何の表情も読み取れない。




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