それでも朝はやって来る

彼は本当に別世界の人だったんだと、実感せざるを得なかった。


彼らが壇上に上がると、拍手喝采の嵐だった。

和服を来た悠里の父が、挨拶を始めた。

隣にいる自慢の息子の肩を叩きながら、今日のこの日を心から祝うと祝辞を述べていた。


同じ部屋にいるのに、何故か朝子にはテレビか何かの出来事にしか思えなかった。


式も大詰めを迎え、清匡は家宝である真紅の珠が3つついている首飾りを壇上で高く掲げた。


「これは、我、八重樫家先祖代々伝わる力の源…

この紅い珠に、私が受け継いだ全ての力を封じ込めた。

これを今日をもって我息子、八重樫 悠里に授けることにする」


大きな拍手と共に、父、清匡の手から悠里に首飾りが渡されそうとした。



その時…



パーティー会場の頭上にある光を取り込む用の大きな天窓が割れて、男達が侵入してきたのだ。


ガラスの破片が飛散した。





会場はパニックになった。



逃げ惑う人でごった返し、ガラスの破片が人々の行く手を阻む。

丁度、ガラスの天井の下にいた朝子の回りには大きな破片や小さな破片が雨のように降り注いでいた。


が、朝子の前だけには、ガラスが降ってこなかった。


「せんせ…!?」


朝子を庇うように、真楯が覆い被さっていたのだ。


「大丈夫ですか?朝子様」


顔を切ったようで、頬から少し血が滲んでいた。


.