それでも朝はやって来る

正午を回ったあたりから、屋敷の中が騒がしくなってきた。


軽食を運んできてくれた木槿が、友人として朝子にも式に出席してくれるよう悠里に頼まれたと教えてくれた。

3時過ぎには、夕方の式典用にと朝子に選んでくれた水色のワンピースに着がえていた。


朝会ったっきり、悠里にも真楯にも会えてない。

他人ばかりの屋敷で、本当に心細かった。



夕方近くになると厳重な警備の中、テレビで見たことがあるような有名人が続々と屋敷に集まってきた。

立食パーティー形式で、一番広い広間で黒服を着た屈強な警備員で入り口という入り口は守られていた。



朝子は知り合いもいないので、壁に寄りかかってノンアルコールの飲み物を飲んでいた。


「朝子様、何か飲み物をお持ちしましょうか?」


黒いメイド服に身を包んだ菖蒲が側に立っていた。

言われるまで、気がつかなかったが朝子のグラスは空になっていた。

代わりの飲み物を菖蒲は運んでくれて、式の最中ずっと仕事の傍ら朝子の事を気にかけていてくれていた。


人垣の中から悠里と真楯が現れたのは、式が始まって大分たってからだった。


朝会った時と変わらないスーツに身を包んだ悠里は、にこやかに客人たちに挨拶をしていた。



別人みたい…

あたしにはあんな顔してくれたことないのに



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