それでも朝はやって来る

濃紺の上品なスーツに身を包んだ悠里の姿は、モデルのようで


高校生の時の面影を残しながらも、大人の男性の色香を纏っていた。


悠里の瞳は潤み、唇は何か言いたげに少しだけ開いていた。


目をそらすことは敵わない。


吸い込まれそうな瞳を、ただみつめる事しかできなかった。




悠里もまた朝子の瞳から、目を反らせずにいた。

昨日の夜までは自分の事を好きだと叫び、体を擦り寄せてきた彼女の憂いを帯びた瞳をじっと見つめ返した。

いつもより高い位置から見る朝子は、一回りも二回りも小さくか弱く見えた。



「…………おめで……と…う」



朝子の喉から絞り出した声は、ひどく乾いてかすれていた。

笑おうとすればするほど、上手く笑えず笑顔がひきつり、顔がグシャグシャに歪む。

見せたくなくて、顔を横に向けた。



「…………ッ」



何か伝えたいが、何から話していいかわからず言葉につまる悠里。

掴んだ手に力がこもる。


「………イタッ」

「わ、悪ィ……」


ぎこちない空気だけが、二人の間に漂う。


「……真楯と」


消え入りそうな声で、悠里が呟く。



「……………あいつと寝たのか?」



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