それでも朝はやって来る

「せめて、朝子の居所だけでも!!」

「お前、まだあの子に肩入れしてるのか!

あの子だけはダメだ。

俺は認めんぞ!!」


「父さん!」


普段、声を荒げることなんかない櫂が父に怒鳴っているのは、とても異様だった。


室中は、シーンと静まり返ってしまった。


「わかった。もう、父さんには頼まない」

「櫂!八重樫には手を出してはならん!話を最後まで聞け……」


その時、ノックをして秘書が入ってきた。


「恐れ入りますが、社長。武田さまが緊急のご用件で、といらっしゃっていますが…」


険悪なムードを察してか、遠慮がちに話す。


「……ッ、わかった。今すぐ行く」


緩めていたネクタイを締め直して、スーツの襟を正す。


「兎に角、この話は帰ったらもう一度する!だから、下手に動くな」


「……………」



半ば、慌てて父は部屋から出ていった。

残された櫂は、窓際に寄りかかり、高いところから見る夜景をぼんやりと眺めながら、父に言われたことを考えた。



「……………何としてでも助けなきゃ」



冷たいガラスに両手をついて頭を巡らす。


どうやっても彼女を探さなきゃ。



ふと、机の上を見ると黄色のファイルにくるまれた書類が見えた。





“佐伯 康之とその妻・竜胆 紫織(りんどう しおり)に関する報告書”



これは…

朝子のおじさんとおばさん…?


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