それでも朝はやって来る

少しずり落ちた眼鏡を中指で持ち上げると、櫂は今自分の回りで起こっていることを話し始めた。


「…………………無理…だな」

「なっ、なんでだよ!」


話を聞き終わらないうちに、父は答えを出した。


自分は見て見ないふりをしていたが、父が結構危ない橋を渡ってきたのは知っていた。


「…八重樫は、手を出せん」


大きな溜め息が聞こえた。


「いいか、櫂。俺達にも越えられない壁があるんだ」


父の弱気な発言に、憤りを感じで握り締める拳に力が入る。


「五芒星といって、八重樫・橘・桜小路・竜胆(りんどう)・梛(なぎ) という権力の中枢にいる五つの家族については、調べられないんだ」


ギリリと眼光鋭く睨む息子の目を一度もそらさず、淡々と父は答えた。


「タブーは犯すものと思っている連中がこの業界にはたくさんいる。でも、そういうやつらが五芒星に関わってろくなことになってない」


「あるものは灰人のようになってしまったり、行方がわからなくなってしまったり…

すまないが、そんな危険なめにうちの従業員を合わせられない」


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