それでも朝はやって来る

廊下の一番奥の大きな扉の前にたどり着いた。



膝がガクガクと震えて、立っているのがやっとだった。



きっと、この部屋だ…



朝子は最後の力を振り絞って、ドアノブに手をかけた。



ガチャ…



静まり返った廊下には、とても大きく響いた。



悠里の部屋はとても大きく、2部屋ではあるが1つになっていた。


片方がリビングともうひとつは寝室のように家具が配置されていた。



部屋は薄暗く、辛うじて目を凝らすと手元がみえる程度だった。



うっすらとだが、またあの香の匂いがたちこめてきた。





「………悠…里…」





悠里を呼んだ声は、ベットのスプリングが軋む音でかき消された。



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