それでも朝はやって来る

朝子の頬に垂れたのが、自分の涙だったか、それとも…


悠里の涙だったのか



わからなかった。



手足の感覚が麻痺して、右を向くことも叶わない。


頭がボーッとして何も考えられなかった。



香の匂いが消え、体が少し自由になるまで、大分かかった。


やっとのことで、首を動かせるようにはなったが、悠里の姿は見えず。


ただ、力強く捕まれた腕の後だけが残っていた。




悠里……



シーツに残る悠里の香りが彼が来たのだけは本当だったと知らせていた。




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