それでも朝はやって来る

「なめた真似してくれたじゃねーか!!」


桜小路に噛まれた男が、彼女に詰め寄る。

彼女も後ずさるが、机に当たって身動きがとれなかった。


「さっきは油断したが、今度はそうは行かないぜ!」


男は桜小路の顎をつかみ言葉を続けた。


「生意気な口だぜ。二度と見れない顔にしてやろうか?」

「さくらちゃん!!」


桜小路を掴んだ手の反対を振り上げて、彼女を思いきり叩いたのだ。

眼鏡が吹き飛び、 口の中を切ったのか唇の端からは血が滲んでいた。

何が起こったのかわからない様子で呆然とその場から動かない。


「全く最近の女子高生は常識がなってないんだよ。年上を少しは敬えよ」


その男に足で蹴られると、桜小路は力なく床に倒れた。


「次はお宅の番だぜ。さっきの威勢は、どうした?」


今度は朝子に近づいてきた。

ソファの端を握り締めて、男を睨み返すか、なんの効果もないようだ。

そいつは、大声で笑いだした。


「そそるねぇ、その顔…ねぇちゃんちには、社会勉強たっぷりしてもらわねぇとな」


男は朝子達を嘲り笑った。

二人の男に羽交い締めにされて朝子は動けなかった。


「ふざけんな!!こんなことして、ただで済むと思ってるの!?」