それでも朝はやって来る

二人でソファに座ってどれくらい時間がたったかわからなかった。


すっかり桜小路も泣きんでいた。


「そろそろカナも心配してるだろうから、行こっか…」


話しかけた瞬間、ビクリと朝子の腕の中で桜小路が震えた。

よく見ると指の先まで真っ赤だった。


「ははは…はぃ……」


「多分、もう大丈夫だよ。きっと、あの人っちも帰ったよ」




とドアを開けるとそこには、さっきの男たちが立っていた。



「………!!」


「探したぜ…。逃げられると思うなよ!」



二人は瞬時に凍りついた。

なんと間の悪いことだろう。


一人は、朝子を後ろから抱き抱えソファまで引きずっていった。

桜小路は男に押され、床へ倒れ込む。



完全に出口を塞がれて逃げ場を失ってしまった。

隣からは、カラオケを歌う大きな声が聞こえてきた。



ヤバい…

これじゃ何を叫んでも聞こえない。


朝子は下唇を噛み締めて、早く部屋を出なかった自分を後悔した。



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