俺は高橋とかゆうヤツに言われてた。

“小春の事が大切なら距離を置け”
……と。

今になって思えば、距離を置かせて小春に近づくための時間を作るためなんだって分かった。


抵抗したものの、“小春がどーなってもいいの?”と、脅してきた。


高橋が“小春”と呼ぶ時、割れ物を扱うかのように、優しい響きだった。

そんな高橋に違和感を覚えながらも、小春に手を出されてら困る俺は…。


黙って要求をのむしかなかった。

自分の情けなさに苛立つ。
小春をこんな形でしか守れないなんて。


小春を守るために出たこの行動が、こんな裏目に出るなんて思わなかった。



体育館倉庫に行った俺は、目に涙を浮かべ『翔』と呼んでいる小春の姿を見た。