「ちょっと来て」
『イヤッ!』

もちろん、私の力が男子の悠にかなうわけなかった。

「抵抗してるつもり?」
『……っ』
完全にバカにされてる。

されよりも…
いつもの悠と違う気がして寒気がする。
こんなことしたりする人じゃないのに…。

―――――ドサッ…

私は今、体育館倉庫の中。
当たり前だけど、悠もいる。

マットの上に投げ出された。
『キャッ…!』

倒れこんだ先がマットでよかった。
…そう思ってられるのも、今のうちだった。

「静かにしててね?」
右の口角だけがゆっくり上がり、私の事を見降ろしている。

逃げたくて仕方ないのに…
悠の目があまりにも鋭くて、私はその場所で動けなくなった。


そう…
まるでナイフの刃先みたいな鋭さで…。