「小春」

大好きな声が私の名前を呼ぶ。
それと同時に部屋の電気が消える…。

『え!?…なに!?キャーッ!』
「おい、そんな騒ぐなって」
『え?だって暗いよ!?』
「俺が消したんだよ!」

翔に目を向けると真っ先に私の目に映った光るもの。

「ケーキ♪食べよう?」
『え…スゴい…!』

ろうそくの立ったショートケーキ。
チョコのプレートに書かれた、“happy birthday 小春”の文字。


『嬉し…い……』
「じゃあ泣くな」
『だってー…!』
「泣いたら取り上げるから」
『!!…ヤダ!』

私、今日誕生日だったんだ…。
自分の誕生日忘れてたよ…。

でも、翔が私の誕生日を知っててくれた事がすごくうれしい。

「ろうそく、消して」
『…うんっ』

ろうそくの火が消え、部屋は暗くなった。