その時。
俺の深部が反応した。

何が何だか解らなかった。
でも……体中の神経と言う神経が集中していた。


それは覚醒だった。

恋人を失った悲しみが、俺の奥底で眠っていた感情を呼び覚ましたのだった。


その時。
霊感探偵が誕生した。

いや、俺自身で誕生させていた。


俺は持って産まれたこの霊感を駆使して、必ずみずほを死に追いやった者を捜し出そうと思った。


みずほの死の真相を葬り去る事なんか出来なかった。


このコンパクトがきっと、全て見ている筈だ。


だから身の毛も総立ちになる程の痛みを、ショックを俺は受け止められるだけの人間になろうと思った。

みずほの為に強い人間になる事。

それが俺に課せられた使命だと思った。