「瑞穂(みずほ)君……」

意気消沈している俺に声を掛けてきた人がいた。

みずほの母親・岩城静江(しずえ)だった。

此処では一番会いたくない人だった。
みずほの死が未だ信じられない俺の心臓めがけて矢を放つ。

認めろと言われているようなものだったから。




どうやら、学校からの呼び出しで駆け付けてきたらしい。


「みずほが……みずほが自殺だなんて……」
余りのショックで気が動転しているのか、為す術もなく呆然としていた。

それは俺も同じだった。


一体何が起きているのかさえ知らされないまま……


俺達はただガタガタ体を震わせながら、事の成り行きを見守るしかなかった。