不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生

 「確かに名前は松尾だけど……」
叔父さんは依頼書を確認ながら言った。


「もっと年上の筈だ。確認は保険証だったけど」


「気付かなかったの?」
皮肉を込めて俺は言った。


「面目ない」
すっかり悄げた叔父さん。


「お前と同じだ。きっと変装したんだよ。男が女に見えるんだ。化粧次第でどうにでも変われる筈だ」

肩を落とながら、言い訳を繰り返した。




俺は何時も
《イワキ探偵事務所》
のロゴ入りの封筒を目にしていた。
だから気付いたんだ。


クラフト封筒に同系色の小さなロゴ。
きっと普通の人だったら気が付かないだろう。
きっと有美も知らなかったと思う。

だから堂々と俺に見せられたのではないのだろうか?