「さっきの女の子だけど……。多分どっかで会った事があると思うんだけど、思い出せないんだ」
珍しく叔父さんが弱音を吐いた。


『記憶は探偵の命だ』
何時もそう言っていたのに……


叔父さんは暫く腕を組んで考えているようだった。




その時俺は
《イワキ探偵事務所》
のロゴの入った封筒を思い出した。


そのロゴは小さくて目立たないようにしてあった。

それは叔父さんの気配りだった。


お客様のプライベートな事を調査したりする探偵業。

それを全面に打ち出さないように配慮したのだ。




――あー!
あの写真!


俺は思い出していた。


有美が俺に見せた写真は、偶然先生の浮気現場に遭遇した時の物だったのだ。


――グレーのスーツ……


――紺の上下…


――間違いない!